作者:sunhuan | 来源:互联网 | 2023-05-17 04:05
ドイツ旅客機の墜落事故は、副操縦士の意図的な操縦が原因だった疑いが強まってきた。「想定外」の事故を極小化するためには、墜落に至る経緯を徹底的に解明するとともに、二重三重の安全確保策を講じることが肝要
ドイツ旅客機の墜落事故は、副操縦士の意図的な操縦が原因だった疑いが強まってきた。
「想定外」の事故を極小化するためには、墜落に至る経緯を徹底的に解明するとともに、二重三重の安全確保策を講じることが肝要である。
格安航空会社(LCC)ジャーマンウィングスの旅客機がフランス南東部で墜落してから1週間になる。日本人2人を含む乗員乗客は計150人で、生存者は発見されていない。アルプス山中の現場では遺体回収作業が続く。
仏検察当局は、回収されたボイスレコーダーの録音を分析した結果、操縦室で1人になった副操縦士が機体を意図的に降下させたとの見解を示した。機長が操縦室の扉を開けるよう求めたが、副操縦士は応じなかったという。
2001年の米同時テロ後、ハイジャック対策として操縦室の扉を強化したことが裏目に出た。
今回、異様な行動をとった副操縦士は08年から、LCCの親会社である独大手ルフトハンザ航空の操縦士養成訓練を受けた。13年から現在の会社に勤務している。
独検察当局は、副操縦士の自宅の捜索で、墜落当日の勤務を不可とする医師の診断書を押収した。副操縦士が精神的な問題で治療を受けていたとの情報もある。
心身が不調なのに勤務を続けていたとすれば、航空会社によるチェックの甘さが問われよう。
世界の航空業界は今後、需要の大幅増やLCCの急成長で、操縦士不足の深刻化が懸念される。その中で、多数の人命を預かる操縦士の能力と資質を確保することが各国にとって大きな課題だ。
欧州航空安全局は、欧州の航空会社に対し、操縦士を含む乗員2人以上が操縦室に常駐するよう求める暫定的な勧告を出した。
日本では、操縦士が操縦室を離れる際は、代わりに客室乗務員が入室するなど、同様の措置をスカイマークがとっているが、そうでない会社が主流という。
太田国土交通相は、「国内でも安全上の措置を注意喚起したい」と述べ、航空会社に安全管理の徹底を求める考えを示した。
精神に変調をきたした機長が飛行中にエンジンを逆噴射させた1982年の羽田沖での日航機墜落事故を機に、国内の操縦士の健康管理体制は強化されている。
操縦士が定期的に受診する航空身体検査や、精神面のカウンセリングの充実を通じて、操縦士の異状を早期に発見し、搭乗させない体制を構築する必要がある。